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最高裁判所第三小法廷 昭和28年(オ)102号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人弁護士林徹の上告理由書は末尾添附別紙のとおりである。

同第三点の(二)ないし(五)について。

しかし、原判決の確定した事実関係によれば、原判示の七室については、解約申入の当初から六ケ月の間正当の事由が存続していたものと解し得ないことはないから、この部分につき解約の効力が生じたものとした原判決の判断は結局正当であつて、論旨は理由がないことに帰する。

同第三点の(五)の(7)について。

家屋明渡しの請求は可分であつて(昭和二三年(オ)第一〇五号、同二四年八月二日当小法廷判決参照)、一部明渡は全部明渡と異質の請求でなく、前者は後者の申立の範囲内の事項であるから、被上告人が単に家屋の全部明渡の請求をしたにすぎない場合に、一部明渡の部分だけが理由あるものと認め、一部明渡を命じる判決をしても、当事者の申立てない事項につき判決をしたものとはいえない。よつて民訴一八六条違背をいう論旨は理由がない。

その他の論旨は「最高裁判所に於ける民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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